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2007年08月26日

8月26日 昵懇(じっこん)。。。



「俺はおりる。金額が出せないとなるとやる価値はない。それにリスクが大き過ぎる。」
と私の顔をにらむが如く口角泡飛ばす。
私は相手の顔を見つめたまま、しばし口を開かなかった。





確かに相手の言う内容は理解できる。今回の金額では到底太刀打ちできない。
もし失敗したとしても果たして相手が助けてくれるかと言うとそれは不可能に近い。
相手からは正確な金額の提示は一切ない。
しかし、私は相手と価格について打ち合わせするうちに概算での予算の目星は付いている。
私も同じ思いだ。この予算額では容易には受け入れることは困難だ。

相手も必死だ。何とか金額を抑えようとあらゆる手段、方法の提案提示をこちらへする。
その内容は提示された時点ではうなされるとしても、詳細を調査し洗いざらい表へと
引き出すと首を傾けざるを得ない内容へと変貌を遂げる。

実際かなり難しい案件なのだ。既にある大手メーカーでさえ手を引いているではないか。
目の前の人物の私に向かう雰囲気は既に激しくそして落ち着きがない。
「私共も既に専門部隊を動かしている。それもあなたを見込んだ上での話しだ。
あなたがそういう態度であれば当然結果は出ている。」

私は返す言葉もない。相談した当初は私も意気盛んに内容説明、今後の展開を自信ありげに
意気揚々と笑顔で応対した。
ところが目の前の人物には失礼であるのだが、既に意気消沈し元気がない。
顔面蒼白な心地で発言する口数すら少ない。

今回の案件は確かにリスクが大きい。話を聞かされた時には既に逃げ出したい心境ではあった。
しかし、相手の他に相談するところがないとの一言がどうしても頭から拭い去ることができなく
仔細検討する返事をしてしまった。
案件内容を細かく詳細に調査するうちこれはとんでもないものを背負い込んだ心境へと
次第に心は深く塞ぎこみ始める。
果たして、そもそもこの考え自体が成り立つのか。果たして案件自体が存在し得るのか。
その存在価値すら疑い始める。

「やはり逃げられたか。まあ始めからある程度予想はしていたんだが。
 しかし、あの会社とんでもないな~。」
呟くように私に話しかける。
私はその会社の擁護に回る。
「いや。実はどっちもどっちのようだ。正確な内容を説明できない者が発言し、
受ける側も発言者が分かっていないものだから質問のしようがなかったようだ。
それにどうも質問してものれんに腕押しの状態だったようで。」
「よくある話だ。素人が内容もよく分からないのに金額の大きさに眼がくらんで注文を取る。
しかし、後の祭り。どこもやってくれなくて最後には泣き寝入り。
まあ。しがらみ政治的側面が大きいようだが。」
「これだけ技術が進歩しているにも係わらず政治的しがらみはどうしても抜けないようで。」
「それだから技術的には無知なところでも十分に飯は食っていけるんじゃないか。」

横にそれた会話をしながらも私の脳細胞は今回の案件へ殆ど向けられている。
金額はもらえない上にリスクが大きい。大手メーカーでさえ出来ないと断言される案件。
それに敢えて立ち向かうのか。
それとも一旦お願いされ返事をした限りにおいて向こう傷にやろうとするのか。

私の宙を漂う目の動きに気づいたのだろうか。相手は話しかける。
「ところで相手先は昵懇な仲なのか。何かしがらみでもあるのか。」と。

私は即座に答える。
「い~や。今回が初めて。しかし、とても困っていたようでつい返事をしてしまったのが。」

「では答えは既に出ているでは。受けたところでもがき苦しむだけだぜ。断らんな。」

胸に響く。断れとの言葉が。
果たして私にこの案件を断ることができるのか。
多分私が断れば相手は路頭に迷うことになる。
確かに相手にも責任はある。詳細に事実を確認しないまま注文を受けたという責任が。

「私はあんたに従うだけばい。」

そう言い残すとそそくさと立ち去る。
別れ際の不吉な笑いのみが中々私の脳裏を去らない。


それでは又です。


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読破。
「山田風太郎忍法帖⑧」山田風太郎著
この巻は風太郎氏お得意の女人の艶姿があまり出てこなかった。
この作品だったら子供にも読ませることが出来る。

読破中。
「山田風太郎忍法帖⑨」山田風太郎著


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 既に8月最後の日曜日。仕事をしながら考える時間はあるブログあるはず。
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2007.8.26by 博多の森と山ちゃん