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2008年05月30日

5月30日 予感(1)。。。



一息つく間もなく次の案件に取り掛かる。
我が九州は福岡、博多の町工場から出荷したこの製品は既にある程度前金は入っている。
その金額に安心した感はある。それも手形ではなく現金だからだ。
既にネットを起点とした取引は日常茶飯事であり金額も何千万円代でも何ら驚く要素は
見当たらない。
もがき苦しみようやく成功させた過去はある。
それは既に経験済みであり又同じような事は起きないだろう。
我が町工場誰しもが疑わなかった。
既に近郊、遠方関係なしに日本国内、いや海外案件だとしても何ら疑問視しないまま
物件を進捗させる。
ようやく終了したこの案件。
先ずは大金が振り込まれたことにより安堵し、そしてその行動により相手の存在自体に
尊敬の眼差しを注いでいたのだ。





この製品出荷時今後を占うような雰囲気はわずかであるが漂ってはいた。
今にして振り返れば当初より曖昧模糊で霞みがかった感触がなかった訳ではない。
その人物とは何度も接触し会話を重ねたが本来のその人物の人となりを十二分に
把握できたかと言うと嘘になる。
しかし、その人物を取り巻く者らを観察するに信頼おける人物であろうと誰しもが
信じるのではないか。
少々の強引さはあるが懸命なるその姿なりを見るにつけ疑うことをしなかった。

あいつ女性専務とて今現在まで様々の人物と出会い実際商売をやっているしこれからも続く。
商売は必ず人と会いそしてその人物とつきあわねば出来ない。
それも実際に何度も会い会話を重ねその周りの人物にまで接触していたのであれば。
完全ではなくともその人物なりはある程度は把握したはずだ。

確かに何らかの問題、不都合が出ると人間は本来の性質、本性をさらけ出すことが多い。
だが、何ら事件は起きずスムーズに運べば奥に潜んだ人となりを決して出すことなく
終了する。
あいつの町工場でのものづくりは初という文字がつく製品が多い。
この処理方法は初。この物をこの機器で流すのは初。この機械自体が初。
動くものづくりで初物は実のところ何らかのトラブルが起きやすい。
いくら自信をもって作った製品とて。いくら試行錯誤を念入りに重ねた機械とて。
何かしらの不具合が出やすい。

その時点での対応を如何に行うかが重要だ。
もちろん即座に対応し出来なければ相手と話し合う。
もちろん金が絡む。いくら値引きされた案件だとしても不具合対応は大概我が町工場持ちだ。
この不具合対応時に相手は本性をむき出しにする場面に遭遇する場合が多々ある。
最近は特に感じるのだが。
感情的になる。一方的に責任を押し付ける。当初との計画とはかけ離れた要望を吹っ掛ける。
最も我が町工場が警戒する金を払わない。値引きさせる。
あるいは返金そして返品させる。
一切話し合いなど応じず一方的に怒鳴る。怒りの感情を露にし一方的に悪者扱いにする。

初ものだ。そのことについて全く理解を示さずむしろ全責任は我が町工場にあるとばかりに
責め立てる。
確かに不具合は我が町工場の責任だ。出来る限りの行動は起こしている。
決して諦めずに事にあたり、又次なる計画を練りそして準備を進めている。
儲けがなくなろうと。何とか成功させようとする。


いくらものづくりとてお金が入らねば、儲けがなければその時点でおしまいだ。
決して慈善事業で活動しているのではなく我が町工場全員の飯の確保に
日夜血眼になりものづくり商売を行っている。
当然ながら行き着くところは金だ。金がなければ会社はつぶれ途方に暮れることになる。
だからこそ人間は金には異常なる関心を示し、金が絡んだ犯罪そして殺人までも
引き起こす。

人を見る目がなかったと言えばそれまでだが。
やはり仕事は欲しい。その時点は選択の余地なく喉から手が出るほど欲しい状況あれば
思わず飛び付いたといっても過言ではない。
それにこちらからの要請なしに前金それもある程度の大きな金額が振り込まれたのであれば
断る理由などない。


心のわだかまりは確かにあった。晴々として我が町工場より完成品を送り出したのではなく
どこかしら不吉な心地はしてはいた。
それに次の案件の納期が迫っている。いや既に遅れるかも知れない。
暗澹たる気持ちは拭えないが何とか忘れ次の案件へと力を注ぐことを当然ながら
決心せねば。
いつまでも既に前の案件の心配を引きずる訳にはいかない。
次々にものづくり案件をこなさねばそれこそ飯の食い上げだ。


ところがだ。この案件にも不穏な影が忍び寄っているとは。
この時点では分かるはずもなかった。。。




それでは又です。


読破。
「邪魔 上巻」「邪魔 下巻」奥田英朗著
平凡な主婦がここまで変わるのか。
スピード感あふれる展開。一気に読んでしまった。
大藪春彦賞受賞作。



読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


読破中。
「竜の卵」ロバート・L・フォワード著


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2008.5.30by 博多の森と山ちゃん