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2008年08月14日

8月14日 時 (7)。。。



次なるものづくりのやり方は向こうからやって来た。
その当時商社の仕事は結局は騙され儲からないと周りの町工場の親父は誰しもが
嫌がっていた。俺の耳にもその話は耳に入っていた。
だが、今現在の下請け仕事を打破する方法を模索していた俺には悪評の噂が高い商社からの
要請であっても決して悪い話ではないと判断した。
その内容は現在の下請け仕事の方法を脱皮させる我が町工場にとっては画期的な
方法だと俺は嗅ぎ取る。





その商社は地元では大きなグループ会社の子会社で関連企業がかなりある。
それに地場企業のお客を多く抱えている会社だった。
他の町工場どこもが断る中、俺は快諾する。確かに商社は騙すという悪評が脳裏をかすめたが
現状維持の下請けのみでは儲からない。
儲けた金は次なる旋盤の新商品につぎ込まれるだけで手元には残らない。借金はいつまででも残る。
一刻も早く周りの町工場の親父がやっている仕事内容、仕事のやり方とはおさらばしたいと
常々考えていた。
まさしく渡り船で断る理由は何もない。俺は早速色よい返事を出す。

その商社の要請とは俺にとってはそんなに難しい内容ではなかった。
旋盤加工だけではなく製缶の仕事まで一気に引き受けて欲しいという今では町工場当たり前の
内容に過ぎない。
但し、一つの工場で全て受け持つことが条件だ。
その当時はどこの町工場も忙しく横持ちする時間すらもったいないほど生産量はある。
旋盤、製缶同時にできる工場であれば最も欲しい自分の会社から発注した製品の
製作状況は即座に見た目で判断できる。
商社は自社の安心を第一の条件としたのだ。

実のところ俺はそれまで製缶仕事はやったことがない。
製缶のせの字も知らない。溶接、切断など未経験でど素人だ。
俺の町工場はひたすら旋盤での量産加工に明け暮れていた。
では一体なぜ。俺がなんのためらいもなく承諾したかと言うと。
俺は自信をもって首を縦に振ったかと言うと。

答えは弟だ。俺のたった一人の男兄弟を当てにしたのだ。
俺は早速弟を呼び出すと今現在働いている工場を辞めさせ引き入れた。
製缶作業に必要な溶接機、ガスを先ずは早々に仕入れる。

そうだ。俺の弟は製缶工場で働いていたのだ。
弟は中学を卒業すると製缶工場へ丁稚奉公していた。もう既に何年にもなる。
俺の予想したとおりそれ相応の腕の立つ職人に成長していた。
製缶仕事は一通り何でもできる一人の職人として成長していた。

弟は商社が持ってくる図面を眺めると鉄板を切り貼りする。
当時はシャーリングなどはこの世には存在しておらずガス溶断機で鉄板を切断すると
グラインダーで削りそして手棒で溶接を行う。もちろん半自動、CO2溶接機など世間に
現れていない時代だ。
旋盤でシャフトを加工し鉄板と溶接する。旋盤加工と製缶作業が組み合わさった
量産加工だ。
どこから聞きつけたのかその商社以外からも注文が入る。
次第に製缶仕事も増え職人の数も増えた。
当時の時代背景もあり忙しかった。残業、休日出勤は当たり前だ。
しかし、以前と異なる点がある。以前の旋盤加工の下請けのみでの仕事とは大きな違いだ
出て来た。
それは儲けだ。利益率が違うのだ。いくら自分のところをピンはねした商社の仕事であろうと
以前にも増して利益率は良い。
製缶、機械加工が同時にやれるため作れる商品の範囲が大きくなり、納期も早い。
いちいち仕事内容から抽出して仕事を出さなくても図面そのものを丸投げができる。
仕事を出す方とすればまかせやすい。たしかに商社からするとそれが目的ではあるのだが。
俺の会社としても他の工場へ仕事を出さなくても全部俺の工場で完結できる。
2つに分けられた仕事より当然利益は稼げる。

以前にまして儲かった。利益が出た。まさしく俺の考えは当たった。
俺の妻の親父さんからの借金は無理なく返済し、新築の家そして大きな車も買う。
確かにそれから好、不景気の波は我が町工場にも襲いかかろうとしたが、難なく切り抜けた。
次には税務対策で頭を悩ますことになる。

実のところ儲けた理由は他にもある。それは。。。




世間は夏休み。なおさら誰も読んではいないはず。えっ。それでもまだ続けるの。




それでは又です。


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2008.8.14by 博多の森と山ちゃん