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6月8日 酸素ランスと発想。。。



現場作業での鉄、軟鋼の切断にはガス溶断器を使用する。
それは酸素、アセチレンあるいはLPガスと切断トーチでの組み合わせだ。
アセチレン、LPガスで先ずは切断すべき鋼材を燃焼するまで加熱する。
鉄は燃焼すると酸化鉄となって溶融する。
それを酸素で吹き飛ばすことにより切断する。

だが、この方法では非鉄金属の切断は不可能だ。
では他に方法があるかという問いに対してはもちろんあると回答する。
我が九州は福岡、博多の町工場の職人は現場での非鉄の塊等を溶断する際には
酸素ランスを使用する。





現場にて非鉄金属の塊を切断する際に使用する酸素ランス。
これは棒状のものでランスあるいはランス棒とも呼ばれる。
構造は金属パイプ内に鉄線が入っている簡単なものだ。
これを着火させ酸素を送ると酸化し高温となる。
ランス先端は4000℃程度らしい。
ランスそのものを燃焼、酸化させながら相手を切断する。

先に記載したガス溶断器と同じような原理で酸化反応を利用している。
アセチ、LPガスの変わりにランスそのものを対象物に当てより高温で溶かす。
それを酸素で吹き飛ばすことにより切断する。
ランスそのものが酸化反応による高温発生のため対象物は鉄に限らない。
非鉄金属、非金属、コンクリートの塊まで切断することができる。

我が町工場でもたまにランス棒を使用した切断の依頼がある。
ランスそのものは高価ではない。
ランス棒と酸素ボンベがあればどこの現場へも出掛けられる。
しかし、高温、燃焼利用の作業のためそれなりに危険は伴う。



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やはりその協議は私の意見に対する反論から始まった。
この人物は相手が顧客であろうが技術的に間違いがあれば容赦なく指摘する。
だからこそ声を掛けたのであり、だからこそここまで来てもらったのだ。
年齢は私よりも若い。
だがその専門分野では卓越した知識と発想まで持っている。

今回もそうだ。
私一人で改善策を搾り出す以上にこの人物の意見を取り入れた方が
より素晴らしい結論に至ると確信すらしていた。
私の質問に対して即座に反応する。
鞄から資料そして電卓を取り出し計算式を呟きながら電卓の数字を指の先で叩き始める。
その行為が終わるとその結果を私に説明する。

その件については両者様々な意見を交わしあい話を進める。
又しても、私の当初の考えとは全く異なる結論となる。
今回も予想だにしなかった内容で終結を迎える。
ノートに書き出した今結末を眺めるだけでもこの人物を呼び出した甲斐があった。

次にいよいよ本題だ。
先ずは予想した通りの言葉がその人物の口から聞こえる。
「これはやめたほうが良いです。失敗は目に見えています。」
この人物を呼んだのはこの答えを聞くためではない。
私は角度を変え同じ内容の質問をする。
「やはりやめたほうが。」との言葉を口にする。
私は又しても別な方向からの質問を浴びせる。
相手の反応にあまり変化はない。
それでも同じ内容の質問をしつこく行う。
相手は黙り込む。

私はわざと話を脱線させ全く異なる会話を持ち込む。
これまでの途切れ途切れの話し模様から弾んだ会話へと変貌を遂げる。

突然又しても話を戻し別の方向から問い掛ける。
その頃には「やめたほうが」と言う言葉が相手の口から出てこない。
「どうしてもやりたいと。」と発している私の顔を眺め考え込む。

私は相手を見ずに「何か方法ないかいな。」と一人心地で呟く。
しばらく沈黙の静かな時が流れる。
今回先に口を開いたのは私ではない。
ついに私の期待していた言葉が耳に入る。
「失敗するかもしれませんがこの方法はどうですか。」
私は満面笑みを浮かべ何度も頷く。

自分自身物足りなかった。
この人物はこれ以上の発想ができるはずだ。
私は頷きながらも相手が紙に書いた漫画絵を指しながら反論する。
それについて即座に反応が返ってくる。
その反応の早さにはいつもながら驚く。
しつこく何度も質問そして反論を重ねる。

やはり素晴らしい。
この人物は紙に様々な漫画絵を書きながら説明を始める。
こんな発想は私は到底できない。
最終的にはこの人物の一人舞台となる。
結局のところ十二分に納得しうる内容で終結を迎える。
この結果を待ち望んでいたのだ。
やはり期待通りでありこの人物と一緒に仕事を進めるのには間違いがない。
二人とも全く異なる視点からの発想。
その発想の融合こそが今回のものづくりの基点となるはずだ。

結論が出た後、私はその若き人物へ質問する。

「ではこの装置。お宅の製品使う必要あるかいな。」

それには不気味な笑いを浮かべはっきりと即座に答えた。

「ありません。」と。




それでは又です。




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「新宿鮫Ⅱ」大沢在昌著



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 私はあれに関しての発想には自信があるのだがブログあるはず。
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2007.6.8by 博多の森と山ちゃん



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