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6月20日 取扱説明書。。。



「本当に金を払うのか。」あいつ女性専務は一人呟く。
一旦取り掛かった以上、止める訳にはいかない。
パソコン画面を睨みつけ過去のデータを変更しながら一頁ずつ完成させて行く。
「次の製品のおさらいにはなるな。」
全体図、フロー図、主要な図面そして制御盤の回路図とA3版の図面も次々とプリンター
より排出される。





今回は相手より条件を提示して来た。
過去一年以上未払いの機械追加分の金額を取扱説明書と引き換えにようやく支払うと言う。
疑心暗鬼は拭えない。
だが、この大金の入金は貧乏暇なしのいつも資金繰りに四苦八苦している
我が零細町工場にとって大層有難い。

相手は困り果てているのは容易に想像が付く。
一切の機械の操作手順、マニュアルは手許にない以上運転は手探りでやっているに
違いない。
確かにボタンを押せば機械は動く。しかし、何らかの操作に手を加える場合、
トラブルが起きた場合、細かい動作についてはどうしても製作側に確認せねば
ならない場合も起きる。
それ以前に取扱説明書があればある程度は解決はできる。
説明書がない上製作会社と折り合い悪く問い合わせができないとなれば
機械、機器は目の前にあっても今回は特に宝の持ち腐れで対応しようがない。

こちら側から言わせれば当然の成り行きだ。
金を支払わないのであれば報いは必ず起こる。
いくらものづくりでも無料奉仕でやれるものではない。




一方、あいつ女性専務が売った他社の製品が壊れ我が町工場に引き上げ修理を行っている
製品がある。
結局一つの部品が壊れていることが判明。
製作会社へ連絡すると即座に無料でその部品は送ると言う。
しかし、その修理にかかる人件費、運搬費は出せないと言う。

実は客先は今回はある理由のもと金は一文たりとも払わないと断言している。
そんな殺生なあな話である。
だが、このお客からは長年大層可愛がってもらっている。
無碍に断ることはできなかった。

そしてこの製作メーカーは最近ようやく脚光を浴び始めたベンチャー企業だ。
金を持っていない。部品の金額はだけは持つので後は何とかご勘弁だと言う。
修理もせずにほたっておく訳にもいかない。
やはりそんな殺生なあな話ではある。
結局どこからも金が出ないとなるそれこそ働き損のくたびれ儲けだ。




一方取扱説明書、完成図書は間もなく完成だ。
部品点数はかなりの数に上り他社の部品の取扱説明書だけでも200頁は越しそうだ。
重たければ重たい程紙代、コピー代、プリンターインク代そして最も高いあいつ女性専務の
人件費が掛っているという事だ。
それにこの完成図書の製作期間中は一切他の仕事ができない。
特に図面描きができない痛手はあいつの町工場のものづくりには大きいのだが。
しかし、この図書完成の折には大金が目の前に積まれるに違いない。
それだけを思い浮かべながら懸命にパソコン画面に向かう。

大金を手に入れたとしても既に行先は決まってはいる。
我が町工場ならばこれも当然の成り行きだ。
銀行さんが手ぐすねひいて待っているという目の前のノンフィクションストーリーは
完成している。


一方そんな殺生なあなの修理品はお客へは一応相談に行こうと心に決めている。
結果は成り行き次第だ。何らかの進展があればよいのだが。
確かに少しでもお金が入れば又しても銀行さんの餌食になるのは目に見えてはいるのだが。


当然取扱説明書はある程度は入金がないと送らないつもりだ。
相手の過去の行動からすると当然の我が町工場が取り得る行動だ。
しかし、折角の努力が徒労に終わるとなれば。
いや終わる前に今回だけは弁護士の先生にお世話になるつもりだ。


銀行さんはいつでも手を大きく広げ我が町工場を歓迎してくれるはずだから。




それでは又です。


読破。
「てとろどときしん」黒川博行著
初期の短編集。大阪弁の会話のやり取りは相変わらず面白い。
最近の娯楽大作の片鱗は見えるが。。。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


読破中。
「竜の卵」ロバート・L・フォワード著


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2008.6.20by 博多の森と山ちゃん



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