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3月3日 俺はまだ見習い。



日増しにこの町工場は慌しくなった。
毎日残業の連続。
その上、何と明日から休日もないらしい。
しかしながら、この職場の職人は一言も愚痴を言わずに明日も日曜出勤するらしい。
しかし、何故なのか。
何故毎日の残業の上に日曜まで働くのか。
しかし、何故なのか。
何に一つ文句言わずにひたすらものづくりを続けるのか。
しかし、何故なのか。。。。






俺はまだ20歳そこそこ。
もちろんまだまだ見習いだ。
一人前の職人と呼ばれ得る腕前を身につけるため毎日必死に働いている。

つい最近またしても先輩が入社された。
この人物は高校中退後製缶工でひたすら腕を磨き年齢は20代半ばらしい。
しかし、この町工場へ入社したその当日から溶接作業をさせられていた。
年配の職人さんは腕はまだまだだなと言いながらも、溶接の仕事をできるのは
羨ましく思わないと言えば嘘になる。

しかし、この町工場は俺のような見習いでもどしどし仕事をさせる。
そして質問すれば教えてくれる。
もちろん職人さんだ。
柄そして言葉使いは少々荒いがとても気を使ってくれる。


しかし、俺は最近でこそ、この町工場の職場で一生懸命働いているが
つい最近までは寝てるか起きているのか分からない状態で仕事をやっていた。
下を向けばつい目がつぶれ、トイレに用を足していてもいつの間にか
立ったまま眠っていて、長い時間トイレから出てこないため心配になった
先輩がトイレの扉を開け、眠っていた俺を起こしたことさえあった。

しかし、このようなふらふらになりながら仕事をしていたのは連日の
残業のせいでは決してない。

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俺はすでに結婚しそして子供もいる。
もちろんお金がいる。
嫁さんも働き共稼ぎだ。
これからももちろん生活費は稼がねばならないし、町工場の見習いから一日でも早く
抜け出し一人前の職人になり給料も上げねばならない。
もちろんそんなこと分かっている。
そのために毎日腕を鍛えるため頑張っているのだ。
一人前の職人と呼ばれる為に。

しかし、若気の至りであろうか。
まだまだ青二才でああったのだろう。
つい最近になってようやく解決したのだが。

まだ仕事がそんなに忙しくないころ、町工場の就業後日課にしていることがあった。
それは毎日。そのことに没頭しついのめりこんでしまった。

工場までは自宅からは自転車通勤だ。
金を稼げばバイクでも買いたいと思っている。

その自転車で帰宅途中何軒も目に入る。
店の装いはきらびやかで、日が暮れるとさらにそのネオンは燦燦と輝いている。
いくら金はなくてもどうしても気にかかる。
ポケットに入っているほんの僅かなお金を手に掴みどうしてもそのネオンに
誘われ店内へと足が向く。
そしてそのお金は即座に販売機に飲まれその機械からはコインが音を立て出てくる。
その僅かなコインをプラスチックケースへ入れ、けたたましい騒音の店内を
物色しながら巡る。
いつしか目ぼしい台に視線を釘付けにし、回転椅子へと身を寄せる。

そうだ。俺はパチンコ屋へ通うことがいつの間にか日課になっていた。
それもパチンコではなくスロットだ。

スロットの方がパチンコ以上に稼げる。
勝負が早い。
短気な俺にはこのスロットの方が向いているようだ。

このパチンコ屋のスロットは通いだした当初はかなり稼いだ。
スロットは一旦出始めるとかなりのコイン出てくる量が半端ではない。
自分でも驚くほど出たことが何度もあった。
一時期は何と給料より稼いだこともあった。
それもほんの1時間程度でだ。
もちろんその出てくるコインを眺めながらほくそえんだのは言うまでもない。

しかし、やはりその幸運は長くは続かなかった。
スロットは稼ぐ金額が大きいが、逆に当たらないとあっという間に大金が出て行く。
スロットで稼いだ金は仕事で稼いだ金とやはり異なる。
遊びで稼いだという意識がやはり頭のどこかにあるのだろう。
いつの間にか短い時間でなくなる。

しかし、スロット通いはやめられなかった。
どうしても大金を稼いだ過去を思い出してしまう。
ここで負けても次、大金稼げば。
実際稼いだことがある身だ。いずれ取り戻せるだろう。
いくら負けてもその思いが頭を離れない。

見習いの給料などたかが知れている。
いくら共稼ぎとは言っても、自分で自由に使える金額など微々たる数字だ。

ついつい手を出してしまった。
今にして思えば何て馬鹿なことをしたのだろう。
後悔だけが募る。

しかし、今の日本は気軽にそして簡単に借金ができる。
テレビでも宣伝している。
お金の値打ちが朦朧としはっきりとつかめない。
カード一つあれば他人と顔をあわせずに機械からお金が出てくる。
それは完全なる高い金利が付いている借金であるのに、目の前の札束を
眺めると、いつしか自分自身の持ち物と勘違いする。
手に持ったお金はいつしか俺の財布に入り込んでいる。

その借金はもちろんスロットで稼ぐためだ。
自分自身はその当時は簡単に目の前に現れる現金の重みが一切分かっていなかった。
借金という概念が自分自身分かっていなかったのだろう。
若気の至りか。

実のところその借金もスロットで稼げば即座に返せるではないか。
過去あんなに稼いだではないか。
そんな甘い考えで借金という苦労を自分自身に降りかけていたわけだ。

やはり、現実は甘くない。
稼ぐどころかいつの間にか現金は減る一方。
スロットに日参すればするほど財布の重量は軽くなっていった。

お金がなくなれば行くところは決まっている。
カードを通せばまたしてもお金が出てくる。
そのお金は高金利の借金と題目の身をも滅ぼす悪財であるのに気づかぬまま。




そして。。。。



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読破中
「君の名残 下 」浅倉卓弥著
読破。
歴史を絡めたファンタジー。
平家滅亡から源頼朝へと時代が流れていく様子をタイムスリップと言う現代を
絡めて表現している。
若干私には腑に落ちない場面もかなりあったが。
しかし、この浅倉氏の文章はとても綺麗。


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2007.3.3by 博多の森と山ちゃん



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