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6月24日 やはり(2)。。。



車に駆け込む頃は土砂降りだ。
コンベアからわずかな距離にかかわらず全身びしょ濡れになる。
あいつ女性専務は一刻も早くこの地を抜け出そうとセルを回しエンジンをかけると
即差にアクセルを踏む。
滝のように降り注ぐ雨のためむき出しの土は束の間、一面川のようになりあいつの車の前も左より
低い地へ向かい泥水が怒涛の如く流れ去る。
幸い車を出発させた地点は硬い土質だったのだろう。難なく車を発進させUターンすると
ワイパーを最大速度で動作させフロントガラスを叩きつける雨の円形の大群より垣間見れる
前方を睨み付けながら帰路を急ぐ。





思わずあいつはブレーキをかける。
前方立ちはだかる登りに思わずアクセルと緩めてしまい停止させる。
行きは下りのため何の苦労もせず走り切る。
だが、つい先程通ったはずの工場ライン間の狭い通路の上りの頂上は果てしく高く感じる。
その急勾配を止め処もなくこちらに向かい大量の雨が川となって流れ来る。
いや大きな滝となり水しぶきを伴い落ちて来ると言う表現がふさわしい。

構わずあいつはアクセルを踏む。一気に踏む。
それはやはり雨が降り出した際の心配、不安がそのまま現実となったのか。
車が進まない。いくらアクセルを踏もうと車はその場所から離れることはできない。
ハンドルはいつしか両手で強く握られている。

あいつはドアを開け外へ出ると即座に前輪を覗き込む。
手には傘はない。いや傘、合羽など雨を塞ぐものは一切車には積み込んでいない。
無情にも空からの大量の水滴の束はあいつの体を一気に襲う。それも次々と止め処なく。

「やはりそうか。」
前輪駆動の前側タイヤ左右とも土の中に深く潜り込んでいる。
タイヤの下半分はぬかるみの泥土の中であいつの足も既に土の中に入り込んでいる。
あいつは車中で履き換えたはずの安全靴の姿は見えずその上を早い流れの泥水の川が通過する。

何故あいつはアクセルのペダルを踏み続けたのだ。
その前に何故一気に車を走らせなかったのだ。何故停止させず、スピード落とすことなく
上りを果敢に駆け上がらなかったのだ。

あいつは周りを見渡す。今日は日曜日でこの工場は休日だ。誰もいるはずもない。

あいつは目についたその場所へ向かい走り出す。
ずぶ濡れのあいつは大量の雨をかき分け、足の動きを遮るぬかるみの土に構わず歯を食いしばり
必死の形相でその場所へ向かい走る。
大きく手を振りそして大きく左右の足を交互に一歩一歩踏み出しながら。。。


えっつ。まだ続けるつもりかよお。




それでは又です。


読破。
「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー著、清水俊二訳
予測できない結末。ハードボイルドの傑作。


読破中。
「創造する経営者」P.F.ドラッカー著。


読破中。
「竜の卵」ロバート・L・フォワード著


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2008.6.24by 博多の森と山ちゃん



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